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「費」と言う姓は、あまり高貴なものではありません。 費の原意は、貝=財貨を粉々にすることですから、財産を無くすことを意味します。 とすれば、この語が姓の人物とは、あまり身分の高くない人物、つまり誰かの内臣(=奴隷)と言う結論になります。 また、地名(都市名)としても、あまり有難くない名称です。 この場合、「費伯」なる人物は、分家方の公子、展無骸と行動を共にしてますから、展無骸の内臣と考えるのが妥当です。 仮に、地名として「費」があるとすれば、そもそもは公子展(無骸)の私領と言うことになります。 隠公二年になると、莒と言う国が登場します。 ここまでに出てきた他国を纏めると次の様になります。 邾:「経(本文)」+「伝(口伝)」(伝は簡単) 鄭:「経」+「伝)」(伝は詳細を極める) 周:「経」+「伝」(伝は簡単、なお本文には「周」の国名なし。天王と記載) 紀:「伝」のみ(簡単) 夷:「伝」のみ(簡単) 宋:「経」+「伝)」(伝は簡単ならが、元年だけで2箇所) 衛:「伝」のみ(簡単) 莒:「経」+「伝)」(伝は簡単) 明らかに突出しているのは鄭です。伝でこれだけの長文を後世に伝える必要が何故あったのか、後の学者はそれから解決せねばなりません。 その前に、莒について語らねばなりません。 莒は中小規模の国家ですが、魯の近隣国ということもあって、しばしば顔を出します。 今回が初出ですが、向と言う別の都市国家から、「向姜」なる嫁を貰っていることから、莒は「非姜系」と言う情報が得られます。 また、姜の爵位は「子爵」。周王と直接お目見えできる諸侯が「伯爵」以上と仮定すると、「子爵と男爵」は、その「お目見え諸侯」から爵位を得たか、自称したことになります。 いずれにせよ、この文だけからも多数の情報が得られるのです。 (続く) 追記 真説「春秋」、真説「論語」、並びに真説「孔子」を、故宮崎市定先生に捧げます。
by 1-shikou
| 2008-03-13 21:34
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